「あれ?エレベーター止まったな」C

274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/24(水) 22:50:54.24 ID:94X/lxM/P
しばらく時間が経つと、幼女は泣き止んだ様子だった。

男「もう、大丈夫か?」

俺は幼女の頭をもう一度撫でてやる。

幼女「…うん」

目を擦り、もう完全に泣き止んだようだ。


男「なあ…なんであんな真似したんだ? 怒らないから言ってみ」

幼女「……」

しかし、彼女は何も答えずに黙ったままでいた。

(……)

俺は薄暗い天井を見上げながら、ただひたすらに救助を待ち続けていた。

281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/24(水) 22:57:13.73 ID:94X/lxM/P
腹の減りが治まらないまま、数時間が経った頃だった。

男「なあ」

幼女「…なぁに?」

男「もうしかしたら、エレベーターこのまま動かないかもしれない…」

幼女「……」

彼女の表情が、不安げに変わった。

男「あ、いや、脅かしてるわけじゃないんだ。ただ…」


俺達がこのエレベーターに閉じ込められているこの状況…

もしかしたら、誰も気付いていないんじゃないか?

そんな、恐ろしいことが思い浮かんでしまったのだ。

287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/24(水) 23:00:47.59 ID:94X/lxM/P
当初は、監視カメラが稼動していることで安心していた。

それは外部との通信が出来ているから。

だが…もし仮に、これが何らか記録用のもので、外部との通信ができないものだとすれば…。


男「……」

思わず、ビニール袋の中を覗いた。

中には…カップ麺、ビール、漫画雑誌…それだけしか入ってなかった。


男「あのさ…」

幼女「…?」

俺は、彼脱出することになるかもしれないことを説明した。


幼女「……」

彼女は賛成も否定もしなかった…。

291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/24(水) 23:06:27.23 ID:94X/lxM/P
閉じ込められてから、もう何日くらいだったのだろうか。

もう、昼なのか夜なのかすら分からない。

そして、日が経つにつれ徐々に気分が悪くなってきた。


ペラリ――ペラリ――

幼女「くすくす…」

俺は、彼女の希望で、膝の上でジャ○プを読ませてあげていた。

俺がページをめくるたびに、幼女は笑いを漏らしていた。

男「面白いか?」

幼女「うん、あはは…」

ワン○ースを読み終えた後、ブ○ーチのページ飛ばし――ハン○ーハンターのページに移動する。

そしてジャ○ーを読み終えたあと、本をパタンと閉じた。

297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/24(水) 23:11:21.74 ID:94X/lxM/P
男「面白かったか?」

幼女「うん、おもしろかった…」


すると、幼女はお腹を鳴らした。

どうやら、腹が減ったらしい…が、ビニール袋の中身を覗くと…

(……)

残っていたのは、カップ麺とビール。

男「……」

俺は黙ってカップ麺のふたを剥がし、かちかちの麺を取り出した。

そして、それを真っ二つに割ると片方を幼女に渡した。

幼女「…、どうやって食べるの?」

男「えっと…」

俺は硬い麺を齧ると、服の上にボロボロと麺がこぼれていった。
それを見習って、幼女もボロボロと麺を齧っていった…。

300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/24(水) 23:16:19.66 ID:94X/lxM/P
最後の食料を食べ終えて、ぼーっと天井をみつめていると…

幼女「ねぇ…」

突然、幼女が声を掛けてきた。

男「…なんだ?」

幼女「なんだか…くらいよ」

男「え?」

幼女は天井を指してそう言言った。

言われてみれば確かに暗いような気がした。

(初日はもっと明るかった…よな?)

調べてみると、非常用の電球の明るさが弱まっていることに気付いた。

この室内が暗闇に包まれるのも時間の問題だろう。

302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/24(水) 23:20:30.76 ID:94X/lxM/P
――ここから脱出する。

俺はそう決意した後、幼女にそのことを説明した。

幼女「……」

黙って聞いている彼女の姿は、少しやつれているように見えた。

多分、俺も同じようにやつれているのかもしれない。

立ち上がるとき、体力が少し衰えているのを実感した。


男「ほら」

俺は、彼女にライターを差し出した。

幼女「……?」

しかし、何をするのか分かっていないようで、困惑の色を浮かべている。

307 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/24(水) 23:24:46.41 ID:94X/lxM/P
男「こうやって点けるんだ」

手本にまわして点けてみせると、ジュボ――という音を立てながら火が点いた。

そして幼女にそれを渡し、その行為を何度か練習させた。


俺はエレベーターの出口に歩み寄ると、力を込めて扉を開いた。

しかし中々開かなかった。

(こんなに重かったけか…? この扉)

恐らくは、俺の体力が衰えているせいだろうか。

なんとか扉をこじ開けると、吹き上げてくる風が室内に入り込んできた。

313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/24(水) 23:32:09.73 ID:94X/lxM/P
まず幼女をおんぶして、その後ライターを点けさせる。

その明かりを頼りに、下の階へと滑り下り、ホールへとつながる扉を開けて脱出する。

成功する自信は、わずかなものだった。

(しかし…)

このままでは、俺達が飢え死ぬのもそう遠くはないように思えた。


幼女は慣れない手つきで点ける練習をした後、なんとか一発で火を点けられるようになった。

男「…よし、いくか。ほら乗れ」

幼女「うん…」

幼女を背負い、そのまま出口の元へと歩み寄った。

316 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/24(水) 23:35:29.91 ID:94X/lxM/P
下を見下ろすと、瞬く間に深い闇が広がった。

男「絶対に腕離すなよ」

幼女「うん…っ」

首に掴る彼女の腕の力が、ギュッと強まった。


そして彼女にライターを点けるように指示する。

回す音を立てて、火が点くと周りが照らされた。


そして鉄骨に足をかけ――徐々に横へと移動していった。

男「……」

幼女「……」

下から吹き上げる風が、服の裾を揺らしている。

その時だった。

男「あ、おいっ…!」

ライターの火が消え、周りが暗闇に包まれた。

320 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/24(水) 23:39:21.72 ID:94X/lxM/P
幼女「あっ…あっ…」

幼女は何度もライターの火を点けようとするが、吹き上げる風のせいで中々点かなかった。

周りが闇に包まれているため、何も見えない。

腕を支えている力も、やがてがくがくと震えだしていた。

男「早く点けろ!」

幼女「う、うん――あっ!」


しかし、彼女の持っていた手からライターが滑り落ち、数秒してから落ちる音が響いた。

辺りが真っ暗に染まり、視界が何も見えなくなる。

(まずいっ…)

手に染み出る汗で、危うく落ちそうな状態だった。

331 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/24(水) 23:45:35.39 ID:94X/lxM/P
男「はっ、離すなよ!!絶対!!」

幼女「う、うんっ…!」

首にしがみ付く幼女の腕の力が、さらに強まるのを感じた。


そして、そのまま来た道を少しずつ戻り――エレベーターの中へと戻ってきた。

男「はぁっ…はぁっ」

顔中が汗まみれになり、その場でへたり込んだ。


幼女「ご…ごめんなさい…」

申し訳無さそうな顔をして、幼女は謝ってきた。

そして、やがて泣き出してしまった…。


336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/24(水) 23:49:49.81 ID:94X/lxM/P
男「…しょうがないよ」

幼い子供を泣き止ませるように、俺は彼女の背中をさすり続けていた。

しかし…、これで脱出する手段が無くなってしまった。

俺は、どうするか考えていた。
生き延びるための方法を必死に考えていた。

(いっそのこと、明かり無しで脱出してみるか…?)

いや、恐らく無理だろう。
あの時――ライターの火が消えたとき、俺はあまりの暗さに足がすくんで動けなかった。

動かそうとしたのに、どうしても動けなかった。

吹き上げてくる風がどうしても怖くて、がくがくと震え始めていたのだ。

346 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/24(水) 23:54:41.66 ID:94X/lxM/P
男「……」

幼女「……」

そのまま数時間が経過し…、俺達は会話を交わさずただ黙り込んでいた。

精密に言えば、腹が減って喋る気すら起きなかった。

ライターも無くなった。食糧も尽きた。
残っているのは、タバコとビールと漫画雑誌だけ。


幼女「のど…かわいたぁ…」

ようやく口を開いたと思えば、彼女はそんなことを言い出した。

たしかに、よく考えてみればちゃんとした水分を摂ったのは初日のコーラだけであって

その後は飴玉だけで水分を補ってきたのだ。

その飴玉も、今では尽きてしまっていた…。

363 名前:>>306 ごちそうさまです[] 投稿日:2010/03/25(木) 00:00:13.54 ID:PA8/+Gq2P
幼女「うぅ…」

本当に辛そうな顔だった。
今にも倒れてもおかしくないような、そういう類の顔色をしていた。

男「ビールならあるけど…」

そう言って、俺は幼女にビールを差し出した。

まさか飲まないよな…、そう思っていたのだが幼女はそれをすぐに手を伸ばし――プルタブを開けた。

そして、一気飲みをし…

幼女「っ…、うげぇ…」

床にぽたぽたを吐いてしまった。


男「お、おいっ…、無理するなって」

そう言いながら、俺は背中を摩ってやった。

幼女「う、うん…でも」

それでも、幼女は少しずつ飲んでいった。

その表情は、終始辛そうだった…。

367 名前:>>306 ごちそうさまです[] 投稿日:2010/03/25(木) 00:05:37.03 ID:PA8/+Gq2P
そして、幼女はビールを一本飲み干した。

幼女「はぁ…はぁ…」

気分が悪くなったのか、その場で横になってしまった。

男「……」

もし、このビールが尽きたら…俺達はどうなるのだろうか?


俺は、思い出していた。

かつてテレビで見たことがあったのだ。大地震でマンションが崩れ、生埋めになった親子のことだ。

偶然近くにあった水の入ったペットボトルも尽き、飢えかけた親が取った最終手段。


自分の手の平をガラスで切り、その血を子供に飲ませていた。

…それで、その親子は無事生き延びた。


男「……」

気付けば、男は辺りを見回していた。
自分の肌を切れそうな何かを、必死に。

それでも、二畳程度しかないエレベーターの中にそんなものは見つからなかった。

「あれ?エレベーター止まったな」Dへ続く
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