カツオ「姉さん……それはタラちゃんじゃないよ」C

423 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE :2009/05/23(土) 02:29:19.14 ID:DSAeDx70O ?2BP(2627)
押し入れに入ってしまうと謎の音も姉さんの声も聞こえない。

押し入れの襖の模様に紛れるように空けた小さな穴から外を伺う。
そこにはただの日常が広がっていた。
なんの変哲もない僕とワカメの部屋だ。

ただ布団に圧迫されるように押し入れに隠れている僕が息苦しい思いをしているだけだ。


424 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 02:29:45.46 ID:Ma8Sx0eYO
中島なら…中島ならきっと…


426 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 02:30:29.04 ID:GDFcAD+w0
サブちゃん・・・ノリスケおじさん・・・
中島・・・
たすけてよ・・・


431 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE :2009/05/23(土) 02:31:24.26 ID:DSAeDx70O ?2BP(2627)
しばらくそうしていたが、姉さんが入って来るわけでもワカメが入って来るわけでもなく、時間だけが過ぎた。

先程僕が感じた危機感のようなものなんて、とうの昔に薄れて消え去って、
なんだか隠れているのが馬鹿馬鹿しく思えてきた。
もうやめよう、気のせいだったのだ。

だって今朝の姉さんはあんなに明るくて、笑顔だった。
口うるさくてお節介な僕の姉さん、ただそれだけなのに、僕はなんで隠れていなければならないのか。

カツオ「……出よう」

そう思い押し入れを開けようと手を掛けた瞬間、廊下と僕の部屋を繋ぐ襖が開かれた。

べちゃり、そんな音を立てて、何かが投げ込まれる。


442 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 02:33:02.28 ID:nqXO7bgGO
((((;゚Д゚))))


462 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE :2009/05/23(土) 02:33:54.05 ID:DSAeDx70O ?2BP(2627)
それがいったいなんなのか僕にはなかなかわからなかった。

サザエ「あれー?カツオは帰って来てたんじゃなかったのかしら?」

真っ赤で、同じ色の液体を滴らせるそれはワカメの服を着ていた。

サザエ「おかしいわねー、一回出てってまた戻ってきたと思ったのに……」

言葉だけ聞けばいつもの姉さんとなんら変わりはないように思えるが、感情の篭らない声と虚ろな瞳は
まるで昨日の姉さんのようだった。


491 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE :2009/05/23(土) 02:36:36.14 ID:DSAeDx70O ?2BP(2627)
姉さんの服や顔に飛び散った赤い液体と、ワカメの服を着た物を染めるその色が、
誰かの血の色なのだと気づくにはしばらく時間がかかった。

誰か、なんて信じたくはないし信じられるようなことではないけれど、
そこに転がっている赤い塊はワカメで、流れている血は彼女の物なのだ。
服から出ている部分は原形を留めない程にぐちゃぐちゃと何かに切り刻まれたかのような
状態なのに、真っ赤に染まった服をそれでも着こなしているのはどこかシュールな光景だった。

突然のことで麻痺した恐怖心が僕に悲鳴を上げさせようとしている。
それを口に手を押し込み堪えた。
くしくもそれは昨日姉さんに噛まれた方の手で、傷口に僅かに走る痛みが僕の思考をなんとかつなぎ止めていた。


504 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE :2009/05/23(土) 02:39:15.40 ID:DSAeDx70O ?2BP(2627)
サザエ「ちょうどいいところに帰って来てくれたと思ったのに、勘違いだったみたいね」

何がちょうどいいのかはわからないけど、姉さんの手に握られた包丁をみるかぎり
僕にとってはちょうど良くないことに違いない。
おまけに反対側の手にはあのタラちゃんの縫いぐるみが抱かれていた。

サザエ「ごめんね、タラちゃんもう少し我慢してね」

姉さんはまた縫いぐるみに話し掛け、本当の我が子にするように笑いかけた。

不思議なのは昨日綿を抜かれてぺしゃんこになっていたはずのそれが、いまは妙に膨らんで見えたことだ。


518 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE :2009/05/23(土) 02:40:17.66 ID:DSAeDx70O ?2BP(2627)
サザエ「昨日のタラちゃんはタラちゃんじゃなかったのよ」

サザエ「だって母さんもそう言ってたしね」

サザエ「だって中身があんなに軽くてふわふわしていたもの」

サザエ「もう一度ママの体に戻そうと思っていたけど」

サザエ「もっと簡単に出来るって気がついたのよ」

サザエ「タラちゃんの体を取り返せばいいんじゃない」


540 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE :2009/05/23(土) 02:43:16.24 ID:DSAeDx70O ?2BP(2627)
姉さんのぶつぶつと呟く声が耳に届く。
言っている内容はめちゃくちゃなのだが、今の姉さんに見つかることは非常に危険だということは分かった。
無惨なワカメの姿を見ても、可哀相だとか酷いだとかの感情が浮かぶのではなく、ただ恐怖だけが僕を捕らえている。

サザエ「きっとワカメがタラちゃんをこんな目に合わせたのよ、体を奪って綿と詰め換えていたのよ」

だからワカメから取り返したのだろう。
ワカメの体から肉を削り取り、縫いぐるみに詰めていたようだ。
縫いぐるみから滴る血も全部ワカメのものだったのだ。

サザエ「でもワカメからばっかりじゃ可哀相よね、カツオだって悪いんだもの」

僕の名前があの声で呼ばれたとき、思わず体が強張った。
どこかで音を立ててしまっていないか、速まった心拍と同じリズムで手の傷がドクドクと脈打った。


550 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 02:45:40.42 ID:GDFcAD+w0
フネはどうしたんだあああああああああああ


553 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 02:46:21.33 ID:VjyuTdLaO
寺生まれのTaikoさんはまだか


554 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE :2009/05/23(土) 02:46:38.13 ID:DSAeDx70O ?2BP(2627)
サザエ「タラちゃんが酷い目に合わされているってのに黙って見てるだけなんて」

サザエ「ワカメはこれで許して上げる、体が軽くなりすぎちゃったでしょう」

サザエ「台所にお肉を用意しておいたから足りない部分に足すといいわよ」

姉さんは動かないワカメを揺さぶりながらそんなことを言っていた。
ワカメはきっともう死んでいるはずだ、あの状態ならば生きている方が悲惨なようなのだ。

口の端を微かに歪めて笑う姉さんだけが楽しそうにみえる。
姉さんは虚ろな視線をフラフラと漂わせて、ある一点で止めた。

サザエ「あら」


595 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE :2009/05/23(土) 02:50:45.38 ID:DSAeDx70O ?2BP(2627)
サザエ「やっぱりカツオ、帰って来ていたのね」

僕は一瞬見つかったのかと思った。
だけどそれは単なるはやとちりで、姉さんが見つめていたのは僕の机の上だった。

サザエ「さっきは中身が散らばっていたのに……きれいにしまわれてる」

いつ見たのだろう、僕が一度目に帰宅してから次に戻ってくるまでの間に違いないだろうが、
その時にはワカメはどうしていたのだろうか、すでに姉さんに肉を削がれた後だったのだろうか。

それを考えると胸が裂けそうな思いで苦しかったが、妹の悲惨な最期を哀れむ余裕など今の僕にはないのだ。


599 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 02:51:43.52 ID:8v7CZyov0
カツオ逃げてぇぇぇぇ!!!


609 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE :2009/05/23(土) 02:53:11.98 ID:DSAeDx70O ?2BP(2627)
サザエ「まだ家のどこかにいるのかしら、ちょっと探してくるからここにいてねタラちゃん」

べしゃりと音を立ててワカメだったものの上に、肉の詰まった縫いぐるみが置かれた。
もしも姉さんに見つかってしまえばあれらの仲間入りだ。
それは絶対に避けなければいけない。

ワカメを切った時に刃毀れしたのであろう包丁は、傾き掛けた太陽の光で凸凹とした刃先を浮かび上がらせている。

それを手にした姉さんがくるりと後ろを振り向きこの部屋からでていくそぶりをした瞬間、僕は安堵のため息を漏らした。

それが、いけなかった。


613 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 02:53:36.59 ID:GDFcAD+w0
いけ・・・な・・・かった・・・?


651 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE :2009/05/23(土) 02:56:59.07 ID:DSAeDx70O ?2BP(2627)
息と共に体の力が抜け、床の一点に体重が集中してしまう。
ミシリ、となる床の音は静か過ぎるこの部屋に響き渡るには十分過ぎる程だった。

ぴたりと動きを止めた姉さん。

僕は押し入れから飛び出して姉さんに体当たりでもしてみようかと考える。
だけどそれを実行するにはこの体の震えを止めなければ、立ち上がることも出来ないだろう。

僕は襖の穴から外を覗くのを止めた、振り返った姉さんの顔を見たくなかったからだ。


665 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 02:58:52.59 ID:CLW3Cy1KO
画像


691 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 03:01:04.59 ID:8e/EPRgq0
>>665
こええええええええええええ


865 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 03:18:57.41 ID:R2mJbAdO0
>>665
嫌いなやつに送った


714 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE :2009/05/23(土) 03:03:33.81 ID:DSAeDx70O ?2BP(2627)
これが走馬灯というものなのか、様々な光景が頭に浮かんで消える。

こんなときだからなのか、みんなの笑顔や楽しかった思い出ばかりが出てくる。

そういえば母さんは町内の婦人会で今日は遅いって言っていたな、とか
中嶋たちは僕が行かなくても野球をしているんだろうな、とか

今の僕には遠い世界の話のような言葉が浮かび、目の前の暗闇が裂けた。

サザエ「タラちゃん、今できるからね」

その声の聞こえた後、赤黒く染まった刃先が僕を



おわる


726 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 03:04:31.27 ID:gO4iBW8sO
終わった?


727 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 03:04:31.06 ID:r8Y7eAanO
え?


827 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE :2009/05/23(土) 03:13:14.40 ID:DSAeDx70O ?2BP(2627)
お付き合いありがとうございました。皆さん夜更かしでよかったです。
ホラー書くの初めてなので怖かったです。

クシャナ殿下の母様のくだりは映画に出すべきでした。

縫いぐるみばらすと意外に大量の綿が出て驚きますよね。
おやすみなさい。またいつか。


845 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 03:15:13.45 ID:niB510YuO
>>827終わりだったか…乙
まぁココまで来たらハッピーエンドにはならんしな


856 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 03:17:31.75 ID:0e1bxYruP
>>827
深夜まで乙。背筋が涼しくなったぜ


912 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 03:48:10.35 ID:CLW3Cy1KO
画像


914 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 03:49:01.15 ID:vYOHLbVE0
>>912
うわああああああああああああああああああああ


917 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 03:50:29.08 ID:kRoI+Xvt0
>>912
勘弁してくれ


1000 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 18:33:17.74 ID:WjGiu8HA0
1000ならサザエさんは元に戻る
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