勇者「冒険の書が完結しない」 @

1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/29(金) 23:47:46.99 ID:Xd9Fqp7N0
王「よくぞ もどった!」

王「ではゆくがよい! ゆうしゃよ!」

勇者「……」

勇者「えっ?」

戦士「この戦いも大詰めだな! 後は魔王を倒すだけだ!」

賢者「今の私たちであれば、勝機は十二分にあると思われます」

僧侶「気を引き締めていきましょうね、勇者様!」

勇者「みんな」

勇者「何を言ってるんだ」



勇者「魔王はもう倒したじゃないか」


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/29(金) 23:49:51.03 ID:Xd9Fqp7N0
戦士「ああ? 何を寝ぼけてるんだ勇者!」

賢者「夢ですね。しかし口に出しても現実のなんの足しにもなりませんよ」

僧侶「でも決戦前夜に魔王を倒す夢をみるなんて縁起がいいですね!」

勇者「待ってくれ」

勇者「ちょっと混乱してる。整理させてくれ」

勇者「冒険の書は……」

戦士「おいおい、そいつを確認しないと今日の日付けもわかんねーのか!」

賢者「決戦前で気持ちは分からないでもないですが、勇者さんらしくないですね」

僧侶「み、皆さん、最後の戦いの前なんですよ? 誰だって緊張くらいしますよ!」

勇者「……そう、最後の戦いの……前……」

勇者(冒険の書は、魔王城突入前で終わっている)

勇者(だけどオレには間違いなく、この手で魔王を倒した記憶がある)

勇者(これは一体……)


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/29(金) 23:52:24.64 ID:Xd9Fqp7N0
【宿屋】

勇者「ちょっと賢者」

賢者「はい」

勇者「突然ですまないけど……『時の砂』という道具は、時間を巻き戻すんだってな」

賢者「はい。ただその存在はあくまで文献によるもので、この世界には現存しないはずです」

勇者「賢者の読んだ文献の範囲でいい、その時間ってのはどのくらい巻き戻すんだ?」

賢者「そう長い時間は巻き戻せないようです。ある本では魔物との一戦ほどとありました」

勇者「そっか……。ちなみに賢者」

賢者「はい」

勇者「なんていうか、時間が丸一日以上さかのぼるような呪文なんてないよな?」

賢者「はい。ラナルータの昼夜逆転は半日を往復するのでそれ以上は伸びませんし――」

賢者「パルプンテの効果でもそのような実例は聞いたことがありません。ただし唱えた後に何の効果もなかった場合」

賢者「実際は時間が巻き戻っていながら、術者が知覚できていないというケースは考えられなくもありません」

勇者「……まぁでも、パルプンテは戦闘中しか唱えられないし、あくまで戦闘にしか影響を及ぼさない呪文だよな」

賢者「はい。私の知る限りでは」


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/29(金) 23:54:27.01 ID:Xd9Fqp7N0
勇者「……」

戦士「なぁ勇者、どうしちまったんだよ!」

勇者「……そうだな。戦士たちからみればオレだけがどうかしてるように見えるんだよな」

賢者「そろそろ説明してくれませんか? 時間の大切さはあなたがよく分かっているはずです」

僧侶「勇者様……」

勇者「分かった。整理がついた」

勇者「まず前提として、これから話すことに一切の冗談はないことを信じてくれ」

戦士「おー勇者がそうやって勿体ぶるたぁ相当だな!」

賢者「意味のある前提と取っていいんですね」

僧侶「ここまで来たんですもの、いまさら勇者様を疑ったりしません!」

勇者「ありがとな。で、さっそく本題なんだけど――」



勇者「なぜか今のオレには、これから倒しにいくはずの魔王を、すでに倒した記憶がある」

勇者「その後訪れた平和な世界も、一時だが過ごした記憶がある」

勇者「分かりやすく言ってしまえば、時間が巻き戻ってしまっている」


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/29(金) 23:56:32.01 ID:Xd9Fqp7N0
戦士「そりゃーおめー勇者! さすがにすぐにゃー信じらんねーよ!」

賢者「非常に興味深い話ではあります。真実であれば」

僧侶「じ、時間が巻き戻るなんて恐ろしいですね……。魔族の仕業なのでしょうか?」

勇者「まったく分からない。分からないが、今話したことを擬似的に確かめる方法はある」

賢者「でしょうね。もし本当に時間が巻き戻っていることを知っているなら」

戦士「どういうこと?」

賢者「つまり、勇者さんはこの先起こることを全て知っているわけですよ」

勇者「オレの体験した出来事だったらな」

戦士「ふーん? てことは?」

僧侶「じゃ、じゃあ平和を取り戻したあとのことも?」

勇者「少しだけな。まぁとにかく、今は目の前の魔王相手にだな」

戦士「なるほど俺にも分かってきたぜ。くらえ勇者!」

勇者「あいた何をする!」

戦士「あれー勇者おまえ先のこと予知できるんじゃないのか?」

賢者「ちょっとかしこさ足りない人はおとなしくしててください」

勇者「冒険の書が完結しない」 Aへ続く
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