勇者「冒険の書が完結しない」 C

31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 00:40:33.71 ID:cK6dvDWr0
【魔王の間】

魔王『ゆうしゃよ。よくぞここまできた……』

勇者「魔王!」

僧侶「ま、魔王……なんて膨大な魔力……」

戦士「こいつが魔王か! なんか勇者の書いた絵にニュアンスが似てるな!」

賢者「印象付けされているとどうも緊張感に欠けますね」

魔王『おまえのながいたびも ここでおわりだ。わがまりょくによって ほろびるがよい!』

勇者「やはり一字一句変わらないのか」

僧侶「き、きます!」

戦士「魔王おおうううおおおお!!」

戦士のこうげき! まおうに××のダメージを あたえた! ▼

勇者「また勝手に始めやがった! 僧侶はフバーハ、賢者はバイキルトを!」

僧侶「は、はいっ」

賢者「次の形態が控えてます。体力魔力ともに温存しながら戦いましょう」

勇者「いくぞ! お前をいま一度打ち倒し、今度こそ平和な日々を手に入れてやる!」


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 00:42:48.58 ID:cK6dvDWr0
――

勇者「これがとどめだ!」

ゆうしゃの こうげき!
まおうに ××のダメージを あたえた!
まおうを たおした!! ▼

真魔王『ぐおおおっ。おのれにんげんどもめ』

真魔王『だが このからだくちようとも わがたましいはえいえんにふめつ。ぐふっ』

勇者「……」

僧侶「……終わったのですね。私たち、本当にやりとげたんですね!」

戦士「っしゃあああ! これで世界が救われたぜ!!」

賢者「さすがに呆気なかったとは言いませんが、絶妙な物足りなさでしたね」

僧侶「勇者様がひとつも無駄な指示を出さなかったおかげです!」

戦士「っしゃあああ勇者最高! ってどうした勇者! もっと喜べよ!!」

勇者「あ、ああ、すまない。でもオレからしてみればここからが正念場だからな」

賢者「時間との戦いというわけですか」

勇者「ああ。そこが決着しない限り、今のこの瞬間もすべて無駄になってしまうからな」


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 00:46:11.55 ID:cK6dvDWr0
ゆうしゃは ルーラをとなえた! ▼



僧侶「? こ、ここは隣国の城?」

戦士「おい勇者どこ行くんだよ! 俺たちの城はここじゃないだろ!」

勇者「分かってる。だがいま優先すべきは、冒険の書――いや、時の保存書だ」

勇者「前回は確か、まっすぐ自分たちの王のもとへ向かった。もちろん魔王を倒したことの報告も兼ねてだが」

勇者「あの時のオレは、王と話して新たな記録を刻もうとしていたはずだ。だがそれが叶っていない」

勇者「最後に途切れた記憶もあわせて考えると、いまオレたちの王に会いに行くのはまずい気がする」

賢者「それで別の王のもとで冒険の書を更新するというわけですね」

勇者「ああ」

戦士「ちぇーなんでえ! カッコよくガイセンする気満々だったのに!」

僧侶「そうですよっ、魔王を倒したんですよ? もう何も憂いはないはずじゃないですか」

勇者「すまないな。まだ戦いは終わってないんだ。それどころかもしかすると」

勇者「魔王とは比べ物にならないほどの強大な敵を相手にしているのかもしれない」

勇者「だが安心してくれ。必ず勝つ。そしてみんなで平和な日々を過ごそう」


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 00:49:02.87 ID:cK6dvDWr0
【隣国の王の間】

隣国の王「そなたこそ まことのゆうしゃよ!」

勇者「ありがとうございます。あのところで、冒険の書の記録をしたいのですが」

隣国の王「冒険の書……? はて、それは?」

勇者「これです。あなたにも記録して頂いたおぼえがあるのですが」

隣国の王「なんの話であろうか? ワシは知らんぞ?」

勇者「えっ? ですからこれです! お忘れになったのですか?」

隣国の王「ふむ、見せてみよ。……ううむ、やはり見覚えがないな」

勇者「そんなはずは」

隣国の王「この……冒険の足跡が刻まれた日記帳が、どうしたというのだ?」

勇者「日記帳? 日記帳ですって? まさか――」

勇者(まさか冒険の書本来の効力が失われて、本当にただの日記帳になってしまったのか!?)



僧侶「勇者様、おかえりなさい! どうでしたか? 用事は済みましたかっ?」

勇者「……まだだ。ルーラをとなえる。こうなったらアテは全部回るからな」


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 00:51:13.69 ID:cK6dvDWr0
――

賢者「結局どこもダメでしたか」

勇者「……念のため、形だけでも記録の手順を演じてもらったが、間違いなく効果はないだろう」

勇者「分かるんだ。いつもの手ごたえというか感触というか、そういうのでな」

賢者「他に記録してもらえる場所は残っていませんが、これは八方塞がりですか?」

勇者「どうもそうらしい。……だが、一応他の方法も考えてみて」

戦士「おい、いい加減にしろ!」

勇者「!」

戦士「なんだって魔王を倒したってのにあちこち道草しなきゃなんねーんだよ!」

戦士「打ち倒す魔物はもういないんだろ! いま、平和ってやつなんだろ!」

戦士「こんなおあずけ状態、ガマンできねーぜ! とっとと帰って、王様からたんまりご褒美もらっちゃおうぜ!」

僧侶「……わ、私も戦士さんに賛成です。勇者様、顔に疲れが出てます……早く帰りましょう?」

賢者「みなさん、勇者さんはただ」

勇者「いや、いい。冒険の書が機能しないんじゃ、もうほとんどお手上げ状態だしな」

勇者「帰ろう。……言うとおり、もう疲れたしな……」


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 00:53:02.82 ID:gqhslrT30
ゲームの中の世界って怖いよな・・・


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 00:54:17.66 ID:cK6dvDWr0
ゆうしゃは ルーラを となえた! ▼

【城下町】

戦士「よっしゃー帰ってきたぜ俺らの本拠地! テンション上がってきた!」

僧侶「早く王様に挨拶を済ませて、ゆっくり休みましょうね、勇者様」

勇者「ああ……。……」

町人A「あっ勇者様だ! 勇者様がやっと帰ってきたぞ!」

町人B「あまりに帰りが遅いから、王様は本人なしで勇者様を称えるところだったんですよ!」

町人C「無事に帰ってきてよかった! 勇者様ばんざい! 魔王を打ち倒した勇者様ばんざい!」

戦士「ほらみろ。主役がいないのに勝手に式を挙げられるところだったんだぜ!」

勇者「式を……勝手に……?」

賢者「また何か気がかりが?」

勇者「……ここに来なかったら、勝手に式を挙げられていた?」

僧侶「そ、そうですよ! そんなこと、納得いきませんよねっ」

戦士「ほらーとっとと城に行くぜー!」

勇者(……もしオレの予想が正しければ……魔王を倒した時点でもう……)


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 00:58:09.18 ID:cK6dvDWr0
【城】

兵士「あなたこそ まことの ゆうしゃ!」

兵士「さあ おうさまが おまちかねですぞ!」

戦士「へへ、城の中も歓迎ムードだな!」

僧侶「平和になった実感がわいてきますね!」

勇者「……」

僧侶「勇者様……?」

勇者「あ。ああ、確かに平和だな。確かに、今この瞬間は平和だ……」

賢者「足取りが重いようですね」

勇者「そんなことは」

賢者「勇者さんの話では、このあと何か恐ろしいことが起こるとのことですが」

勇者「憶えていたか。ま、たぶん大丈夫さ! 今は……この一時をみんなで味わおう」

賢者「……はい。勇者さんがそう言うなら」

僧侶「……勇者様……」

兵士「さあ おうさまが おまちかねですぞ!」


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 01:01:24.13 ID:cK6dvDWr0
【王の間】

王「ゆうしゃよ よくぞ だいまおうを たおした!」

王「こころから れいを いうぞ! そなたこそ まことの ゆうしゃ!」

王「そなたのことは えいえんに かたりつがれてゆくであろう!」

戦士「よっしゃー凱旋だー!」

賢者「……別に何かが起きる様子も……」

僧侶「あ、あの勇者様、勇者様はこれから、その」

勇者「待て」

勇者「みんな」




そして でんせつが はじまった!





47: 忍法帖【Lv=23,xxxPT】 :2011/07/30(土) 01:06:05.32 ID:+1FZMFT50
え?


49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 01:06:58.94 ID:cK6dvDWr0
王「よくぞ もどった!」

王「ではゆくがよい! ゆうしゃよ!」

勇者「……」

勇者「えっ?」

戦士「前から思ってたけど、わざわざ王様の前でコレ記録するのになんの意味があんのかねえ!」

戦士「だってそうだろ? そんなもん俺らで勝手に書けばいーじゃん!」

僧侶「儀礼的な様式美ですよっ。今までだって欠かさずやってきたことでしょう?」

賢者「まぁ無骨で大ざっぱな戦士さんには縁遠い話ですが」

戦士「なにおう!」

勇者「…………」



勇者「王様」

勇者「少しお話があるのですが」

勇者「冒険の書が完結しない」 Dへ続く
怖いサイト.com
ベストヒットナビ
感想・雑談はコチラ
もっと探す@AB
[戻る]
- mono space -