勇者「冒険の書が完結しない」 F

97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 02:22:44.10 ID:cK6dvDWr0
【別室】

勇者「まずは賢者、お前からだ」

賢者「未来の私が、勇者さんに妙なことを吹き込むほど切羽詰ってなければいいのですが」

勇者「さすがに状況の飲み込みが早いな。だがお前の『呪文』はとびきり妙だぞ」

賢者「どうぞ」

勇者「よし言うぞ……『赤メダパニ青メダパニュ黄ミェダパニュ』」

勇者「すまん間違えたもう一回。『赤メダパニ青メダアパニ黄メダパン』」

勇者「『赤メダパニ青メダパヌ黄メダパム』。『赤メダパニ青メダパニュキメーダパニ』あーくそ!」

賢者「なるほど」

勇者「な、何笑ってんだ! お前からもらったメモは『できるだけ早く』なんて注釈までついてたんだぞ!」

賢者「失礼しました。勇者さんがすでに魔王を倒したという話、確かに信じましょう」

勇者「ど、どういうことなんだ?」

賢者「勇者さんが早口言葉が大の苦手であることを知っている人間も、そう多くはないということです」

賢者「それに普段は凛々しい勇者さんのおちゃめな一面も独り占めできましたし私は満足です」

勇者「な、なんだって? 早すぎてよく聞き取れなかったもう一回」  賢者「では次は僧侶さんを呼んできますね」


99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 02:26:15.68 ID:cK6dvDWr0
【別室】

僧侶「あ、あのう勇者様。わ、私はどうすれば……」

勇者「『全部で100回』」

僧侶「!!」

勇者「という言葉に心当たりはあるか?」

僧侶「ど、どうしてそれを……正確には96回ですけど……」

勇者「いや。これは未来の僧侶から教えてもらった言葉で、意味までは教えてくれなかったんだが」

僧侶「あ、ああそうなんですねっ。ま、まさか勇者さんも一緒に数えていたのかと思ってびっくりしました!」

勇者「何を?」

僧侶「えっ? ほ、本当に大したことじゃないんですよっ。勇者様のことは信じますので今のは忘れてください」

勇者「気になるからできたら教えて欲しい」

僧侶「ダ、ダメです! そ、その、恥ずかしい……ですから……」

勇者「恥ずかしい96回? ??」

僧侶「ちっ違いますっ! 違いますよっ!! 神に誓ってそういうコトじゃないです!!」

勇者「はあ。もう面倒くさいからいいや」


102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 02:32:48.69 ID:5hLstwg10
僧侶の恥ずかしい96回が気になってしょうがないんですが


107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 02:36:07.80 ID:vtTMDYJi0
>>102
そりゃおめー、お、お、オナ…


112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 02:39:24.37 ID:5hLstwg10
>>107
旅の途中でお腹が痛くなった回数か!
数えられたらそりゃ恥ずかしいよな


100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 02:28:36.76 ID:cK6dvDWr0
【別室】

戦士「おい勇者! 早く魔王を倒しに行こうぜ!」

勇者「いいか。お前だけかしこさが2ケタあるのか不安だからよーく聞け」

勇者「オレはお前の親父の遺言を知っている。なぜなら未来のお前に聞いたからだ」

戦士「未来の俺……?」

勇者「『魔王に初めて傷を与える男になれ!』」

戦士「お……おおお!」

戦士「おおおおおおお! なんでお前がそれを知っているんだ!?」

勇者「お前に教えてもらったからだ。いいな、これからオレの言うことは全て信じろ。そして」

勇者「大人しくしていてくれ。事態は深刻だ。くれぐれも邪魔をしないよーに」

戦士「そんなわけに行くか! 魔王を倒さねーとお袋に合わせる顔がねーよ!」

勇者「……お前30万ゴールドもありゃ暮らしに困らないって、お袋のか?」

戦士「な、なんだそりゃ? そりゃそんだけの金がありゃラクできるだろうけどな!」

勇者「そうか。……待ってろ。すぐにその生活、叶えてやるからな」

戦士「あたりめーだ!」


103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 02:32:54.73 ID:40g3UWkt0
良い奴だな


104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 02:33:19.68 ID:cK6dvDWr0
――

勇者「――というわけなんだ」

賢者「時の保存書……」

僧侶「そんな……いくら頑張っても時間が巻き戻されるなんて……」

戦士「やっぱり理解不能だったぜ!」

勇者「巻き戻しの条件は一つ。オレたちが魔王を倒すこと」

勇者「いや、たぶん正確には違うな。俺たちがこの物語の、役目を終えることだ」

僧侶「物語? なんだかロマンチックですね」

賢者「王の時も少し話しましたが、その役目を与えているものというのは何者なのでしょうか?」

勇者「分からない。分からないが――オレたちの概念を遥かに超越した存在だ」

僧侶「……神……でしょうか?」

勇者「さあな。けれど、僧侶が崇拝しているような存在とは別のものだと思う」

勇者「支配者……いや……創造主……?」

勇者「とにかくそれが定めた縛りがある限り、このループから抜け出すことはできない」

戦士「Zzz」


108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 02:36:56.66 ID:cK6dvDWr0
勇者「前回は巻き戻しが起こる直前に、冒険の書をメラで燃やした。だが」

勇者「この通り効果はなかった。だから今回はこの冒険の書を」

勇者「『魔王を倒す前』に燃やそうと思うんだが、どう思う? 賢者」

賢者「そうですね……時の保存書としての効力は残っているとはいえ、やはり同じ結果になると思います」

賢者「いくらこの時点で冒険の書を抹消しても、過去の記録がある以上は巻き戻しの呪縛は解けないでしょう」

勇者「オレもそう思う。だから今回は、そこからさらに一歩進めてみようと思う」

賢者「といいますと?」

勇者「その前にまず、もう一度冒険の書に記録をしよう」

僧侶「またお城に戻るんですか?」

勇者「ああ。今まで単に機会がなかったが、みんなの信用を得た『今』を記録すれば、今後同じことをする手間が省けるからな」

賢者「――しかしながら、勇者さん視点でしか本質を理解できないセリフですね。我々には未知の領域です」

僧侶「そ、そうです。私たちはまだ、魔王に会ったことすらないんですよ?」

勇者「大丈夫、なんとかなる。それにしてもこのギャップにも大分慣れてきたな」

勇者「よし起きろ戦士。もう一度城に行くぞ。ほら!」

戦士「ぶあっくしょおおおい!」  勇者「いいからもう」


113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 02:40:06.64 ID:cK6dvDWr0
【王の間】

王「――そなたらの たびのせいかを この ぼうけんのしょに きろくしても よいかな?」

勇者「はい」

王「……」

王「しかと きろくしたぞよ」

王「どうじゃ? また すぐに たびだつ つもりか?」

勇者「いいえ」

王「では しばし やすむがよい! また あおう! ゆうしゃよ!」

勇者「お休みなさいませ」



勇者「これでよし。宿屋で一晩明かして明日魔王を倒すぞ」

戦士「え? 終わり? 何しにきたの!?」

賢者「やはり当事者でなければ、意味のある行為には見えませんが」

僧侶「勇者様のすることにきっと間違いはありませんよっ」

勇者(だといいんだけどな……)


115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 02:42:11.15 ID:cK6dvDWr0
【宿屋】

ゆうしゃは メラを となえた! ▼

ぼうけんのしょは あとかたもなくもえつきた! ▼

勇者「よし」

戦士「おおおおおいおいいいのかよこれえええ」

僧侶「う……分かってはいましたが、今までの冒険の足あとがこんな簡単に……」

賢者「勇者さん。先の勇者さんの話も織り込み済みで言わせていただきますと」

賢者「私たち視点では、勇者さんがいきなり訳の分からない理由で冒険の書を燃やしたようにしかみえないのですが」

勇者「『永遠に平和な日々を過ごせない』リスクと天秤にはかけられない。どうかここはオレを信じてくれ」

僧侶「し、信じます!」

賢者「勇者さんがそこまで言うのなら」

戦士「もう俺には訳が分からんよ!」

勇者「さて……寝るぞ! 明日は決戦だ!!」

戦士「そうそれ! そういう分かりやすい流れにしてくれよ!」

勇者(……効力のあるうちに冒険の書を抹消……果たしてこれで『何者か』の呪縛を解いたことになるのだろうか……)


119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 02:44:32.23 ID:cK6dvDWr0
――

勇者「おはようみんな、準備はいいか」

僧侶「いつでもオーケーですっ」

賢者「特に異常は」

戦士「眠い! 寝不足だ! だが気合でカバーできるぜ!」

勇者「よしいざ出陣だ」

ゆうしゃは ルーラをとなえた! ▼


【魔王城城門】

勇者「よしちゃっちゃか行くぞ、すぐやるぞ」

賢者「昨晩勇者さんがまくし立てたデータが真実であれば、魔王など軽く丸腰ひねるがごとしですが」

僧侶「神よ、どうか我らにご加護を……」

戦士「う〜ん眠い! だが! 気合でカバーできるぜ!!」

勇者「よし、みんな行くぞ!」

勇者(うまくいかなかったときの時間のロスが精神的に惜しい。今回は最速タイムを弾き出すつもりでいこう!)


123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/30(土) 02:46:52.85 ID:cK6dvDWr0
――

勇者「あと一発! これで終わり!」

ゆうしゃの こうげき!
まおうに ××のダメージを あたえた!
まおうを たおした!! ▼

真魔王『ぐおおおっ。おのれにんげんどもめ。だが このからだくちようとも――』

勇者「よし、城に帰るぞ!」

賢者「魔王がまだなにか言ってますが」

勇者「後で聞かせてやる、すぐに帰還だ」

僧侶「えっ……終わっ……えっ? えっ?」

戦士「ん……んん!? 倒した? もしかしてもう倒しちゃったのか? っしゃあああああ!!」

賢者「我々のここまでの苦労をあざ笑うかのような瞬殺っぷりでしたね」

僧侶「勇者様の天才的な指示の賜物です!」

戦士「っしゃあああ勇者最高! ってどうした勇者! もっと喜べよ!!」

勇者「いいから帰るぞ! 王に会いにいく!」

戦士「なにイライラしてんだよ!」  勇者「もう飽きたんだよ!」

勇者「冒険の書が完結しない」 Gへ続く
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